#27 ワインから生まれる「和モダン」な1杯

 前回のコラムでご紹介した、株式会社かたすみのエシカル商品「マール茶」。ワインの搾りかすを乾燥させてお茶にしたのが「マール茶」です。

 初めてこれを飲んだ友人は、一口目に「懐かしい味がする」と表現しました。その後、「なんかおしゃれだね」と一言。そう言われてみると、ブドウから感じる旨みのような味わいと酸味が「梅こぶ茶」に似ています。飲んでいるとなんだか落ち着くのは、そういうことだったのか!とハラオチしました。

北海道の元銀行員が 埼玉県でワインバカになりました

 「和」を感じる旨み+ブドウの香りが新鮮で、オシャレな感覚なのかもしれません。マール茶は、いわば「和モダン」な味わいです。

 このマール茶の原点が、埼玉県小川町にある「武蔵ワイナリー」。代表の福島有造さんは、元銀行員という異色の経歴を持つ栽培醸造者です。「有機の里」と呼ばれる小川町で農業研修を受けて知識を蓄え、経験を積み、JAS有機でも使用が認められているボルドー液すら使わない”完全無農薬”でブドウを栽培しています。このようなワイナリーは日本に1%も存在していないのだとか。

 武蔵ワイナリーには、「ブドウの糖度が21度以上じゃないとワインにしない」という独自ルールがあります。(※前回コラム参照)。これが「濃厚」という一言では表現しきれない独特な奥深さにつながるのです。

 実は、もうひとつ秘密がありました。それが「シュールリー製法」です。発酵中に出る澱を、瓶詰め直前まで取り除かないという製法で、これにより健全な澱の旨みをワインに移すことができます。フランスロワール地方で有名なシュールリー製法ですが、武蔵ワイナリーのように赤ワインでこの製法をとるのは珍しいそうです。

酸化防止剤を使わずワインを作る!? 「やってみたら、出来たんです」(笑)

 また、福島さんは酸化防止剤も使用していません。「やってみたら、入れなくても大丈夫だったんですよ」と福島さん。ブドウの育て方や肥料の与え方も然り、教科書に書いてあるようなセオリーをすぐに信じるのではなく、とにかく自分で試してみる。そして、なくてもいいならやらない。この福島流が、最終的には「食の安心」に繋がります。

 武蔵ワインの複雑な味わいや旨み、奥深さは、福島さんが試行錯誤の末生み出したこれらの手法による賜物なのです。そんな唯一無二のワインに、「美味しいもの作っちゃってすみません」と柔らかな笑みを浮かべる福島さん(笑)。実直な職人の微笑みはなんともチャーミングですが、それは達成感の笑みなのだと思いました。

マール茶の旨味を支えるのは 武蔵ワイナリーの実直さと負けん気の強さ

 この取材時にマール茶を初めて飲んだ福島さんは、「うん、姿を感じるね」と嬉しそうに言いました。丹生込めて育て、醸したワインの姿をマール茶にしっかりと感じ取ってくれたのです。添加物を全く加えていない武蔵ワインだからこそ、その搾りかすでできたマール茶も唯一無二の「和モダン茶」になりうるのだと思います。

 「欧米に負けないようなワインを作りたい」

 福島さんのワイン作りへの想いは更なる高みに向かっています。埼玉県小川町がナチュールワインの聖地となる日も遠くないかもしれません。マール茶を飲むたびに、福島さんの情熱に想いを馳せるでしょう。武蔵ワイナリーがこれからどう進化していくのか、楽しみでなりません!

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